おいしさブログ

おいしいお菓子について、こだわりの素材についてのお話

楽花生パイのお話⑨

さて今回は当社のパイ生地のバターについて詳しくお話することになっていましたね。
私はこのお話をするときに、いつも感じてしまうのですが、オランダの乳製品に対するこだわりと酪農の歴史と伝統の厚みです。
 
それではバターメーカーにお邪魔した際のお話に戻りたいと思います。
そのメーカーは日本の乳業メーカーもそうですが、農家から牛乳を仕入れてその原乳をもとにバターだけでなく、いろいろな乳製品を製造しています。
私がお邪魔したのは、その中のバター工場でした。その工場では、バターだけでも数種類作っています。とはいってもバターですからマーガリンのように植物油脂を加えたりはしていません。牛乳だけを原料に製造されています。また発酵バターが主流になります。

以前にもお話したかもしれませんが、ヨーロッパのバターは発酵させることが当たり前です。発酵させないバターはもちろん作ることができますが(発酵工程が省かれるだけなので)、彼らにとってはバターとしては認めたくないものらしいです。発酵工程は長い酪農と乳製品製造の歴史の中で培われてきた大切な味作りの一環なのですね。
私達日本人も発酵食品が大好きですので、皆さんもよく理解できると思います。

さらに、この工場を訪問した際に初めて耳にして驚いたのですが、オランダでは夏の牛乳で作る夏バターと、冬の牛乳で作る冬バターと大きく2つに分けて作られています。なぜかというと牛さんが食べる餌の性質が全く違うからだということです。

夏は放牧され、生の草を中心に食べます。そして冬の間は牛舎にいて、干草を中心に食べます。
すると夏の牛乳は生の草の影響でカロチンや水分が多くなります。その牛乳をバターにすると、カロチンのおかげで黄色身を帯び、水分が多いので、冬と比べて脂肪分が少なく、柔らかいバターになります。パンなどにはとても塗りやすいですね。また味わいも生の草の影響で複雑な味わいが楽しめます。とてもおいしいですよ。
したがって、クッキーなどいろいろな原材料を利用した生地には夏バターを使用したほうが向いているということです。

いっぽう冬バターは干草を中心に食べるため、カロチンの影響が少なく、色が白く、水分も少ないため脂肪分も多くなります。味わいは雑味がなく、とてもピュアーでさわやかな乳酸菌の風味が楽しめます。こちらもまた、とてもおいしいです。パイ生地のように生地そのものにいろいろな材料を混ぜないで、バターの風味そのものを楽しむ生地には、冬バターが向いているということでした。

奥が深いですね。夏と冬のバターを別物として扱うことは彼らにとって当たり前のことでした。日本のバターについてはこのような扱いはされていません。ただただ驚くばかりでした。
もちろん私達が選んだバターは冬バターです。

今回は夏バターと冬バターのお話で一杯になってしまいました。ごめんなさい。
前回からお話している2つの優れた特徴については次回にさせていただきます。             


オランダ家味の門番より 




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